ラブカは静かに弓を持つ | 安壇美緒 | 集英社

小説

ラブカは静かに弓を持つ | 安壇美緒 | 集英社

2022年第6回未来屋小説大賞。2023年本屋大賞第2位。2023年第69回青少年読書感想文全国コンクール 課題図書(高等学校の部)

主人公の橘樹(たちばないつき)は、全日本音楽著作権連盟の職員。著作権の使用料をめぐるミカサ音楽教室との裁判を控えていました。連盟は裁判を有利に進めるため、音楽教室での不正使用の実態を調査して、その証拠を押さえる目的で、身分を隠して音楽教室に生徒として2年間潜入するよう、上司から主人公に指示が下るところから物語が始まります。
主人公は、子どもの頃に習っていたチェロの個人レッスンを受けるうちに、講師や教室に通う生徒たちとも少しずつ心を通わすようになり、チェロを弾く事自体にも楽しさを感じるようになってきて、スパイとしての立場と自分の気持ちの間で揺れ動いていきます。また、2年間の潜入調査が終われば、その後、裁判に証人として立つ事になり、そうなれば教室の講師や生徒を欺いてきた事が露呈して、彼らとの関係性を全てを失ってしまうという近い未来に必ず発生する事実が、主人公を苦しめていきます。
そして音楽教室に潜入してから1年が経ったある日、それまでの状況を大きく変える事が起きてしまいます。人と人との信頼とは何か、読者も一緒に考えながら、物語はラストに向かっていきます。

現実世界でも発生した、音楽教室での著作権使用料という裁判を1つの題材して、それと教室の講師や生徒たちの信頼、人と人との関わりというテーマを対比させ、その間で主人公がもがき、苦しむ心境をリアルに描いていて、どんどん物語に引き込まれていきました。

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